Laboratory of Animal Behavior, Division of Animal Science, School of Veterinary Medicine, Kitasato University

ウマについての研究

当研究室ではウマを対象に以下の研究を行っています。

小格馬の動物介在療法への活用

小格馬とは一般に、体高 90 cm程度のミニチュアホースと体高148 cm以下のポニーを指します。体高が低く躯幹の太いウマはセラピーホースとして高い適性をもっています。動物介在介入の領域で最もポピュラーなセラピーアニマルはイヌですが、短い寿命が最大の弱点です。小格馬の寿命は25~30歳であり、調教期間を4~5年と見積もったとしても、イヌの4倍以上の実働期間が確保できます。必ずしもウマに乗らなくても、ヒトはウマから大きな好影響を受けることを見出しました。近隣の医療機関と共同研究もおこなっており、小さなウマの大きな力について研究しています。

馬体測定のための非接触3D画像構築

ウマの体の大きさは、これまで体尺測定器、キャリパー、巻き尺などで実測されてきました。近年、3Dカメラの性能が良くなってきたため、ウマに触ることなく大きさの測定をしようという研究です。実測が危険な競走馬や子ウマでもこの技術で安全かつ正確に馬体測定ができる手法を開発しています。

ホーストレッキングについての研究

八甲田HT

ホーストレッキングは、競争でも競技でもなく、楽しみ、スポーツあるいは気分転換のために野山をウマで散策する活動です。一般にホーストレッキングでは、騎乗者は先導馬に乗ったガイドの後について縦一列になってウマを歩かせ(常歩)、走らせます(速歩・駆歩)。狭い馬場内で騎乗するのではなく、常に景色が変わる大自然の中でウマに乗るため、人にとってはとても楽しい活動です。その一方、ウマは日常飼育されている施設の外で運動することとなりますので、障害物との遭遇、自動車などの接近あるいは舗装道路上での歩行などといったストレッサーにより、ウマのストレス応答は大きいと予想できます。当研究室ではホーストレッキングについてヒトとウマの両面から研究を行っています。

1)    ホーストレッキングが騎乗者の心身の健康に及ぼす影響

キャンパス内HT

実は、ホーストレッキングは楽しいだけではないのです。大学生を対象として、ホーストレッキングが騎乗者の自律神経活動および心理状態に及ぼす影響について研究したところ、わずか1回30分間のホーストレッキングを行っただけで、騎乗者の副交感神経活動は大幅に上昇することがわかりました。その上昇は、市販のライディングシュミレーターに乗ったときよりも大きいものでした。

2)    ホーストレッキングによるウマのストレス応答

海中HT

騎乗者にとって安全で、かつウマにとってもウェルフェアレベルの高いホーストレッキングをデザインできるよう、ホーストレッキングによるウマのストレス応答を生理学的・生化学的・行動学的観点から評価しています。トレッキングコースの違いや騎乗者の騎乗技術の違いなどによる影響について検討しています。

日本在来馬の最大許容負荷重量についての研究

対州馬

わが国には8品種の日本在来馬がいます。その中には体高が120 cm程度の比較的小さなウマもいます。体高が低く躯幹の太いウマは動物介在活動・療法に適していることが騎乗者の振動解析から分かっています。このような体格は北海道和種馬や木曽馬、あるいは対州馬などといった日本在来馬に多く見られる体型であることから、日本在来馬の動物介在活動・療法分野での活躍が期待できます。しかし、日本在来馬は小さいゆえ、重い人を乗せると安定な歩行運動を維持できない場合があります。騎乗者の制限体重を設ける必要がありますが、その基準を明らかにした研究はほとんどありません。当研究室では、ウマに負荷できる重量の上限、すなわち最大許容負荷重量を歩行リズムの解析によって明らかにしています。対州馬、与那国馬、木曽馬を対象に研究を行っています。

障害飛越時におけるウマと騎乗者の動作解析

障害飛越

馬術競技における障害飛越競技の指導には経験的な方法しかなく、練習方法の違いが騎乗者の動作に与える影響についてはよくわかっていません。3次元動作解析によりウマと騎乗者の体各部の動きを調べ、経験的に良しとされてきたいくつかの飛越方法を比較しながら、客観的な評価に基づく有効な障害飛越競技の指導法を確立するための基礎的な研究を行っています。また、人を乗せないで障害を飛ばせる自由飛越の動作とも比較し、ウマの動きをできるだけ邪魔しない飛越動作の研究も行っています。障害飛越競技における騎乗者の安全とウマのウェルフェアを向上させるために、馬術の世界に科学のメスをいれる、といえるでしょう。

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