今年度の研究紹介の第4回目です。今回は秋田市大森山動物園でキリンの調査をおこなった寺田さんに担当してもらいます。。


みなさん、こんにちは!動物行動学研究室4年、キリン班の寺田です!

私の卒業論文のテーマは「アミメキリンの行動に給餌回数の変化が与える影響」です。

今回は研究の内容をできるだけかみ砕きつつ、私がこだわったポイントを中心に紹介していきたいと思います。ちょっとでもキリンさんについて知っていただけたら嬉しいです!

みなさんの中で、実際にキリンさんを見たことある人はどれくらいいるでしょうかー?おそらく日本の動物園に行ったことがある人であれば、多くの人が見たことがあると思います。現在、日本の多くの動物園でキリンさんが飼育されています~

が!!!

アフリカ大陸の草原に暮らす野生のキリンさんは、鉱業地の開発のために生息地が減ったり、密漁が行われたりしていることにより、個体数が減少してきています、、、日本で動物園に行けば見ることができるキリンさんが、野生では減ってきているなんて驚きなのですが、悲しいことに事実なのです、、、

可愛い可愛いキリンさんを守るためには、野生での保護活動も勿論なのですが、動物園での飼育も重要です。日本の多くの動物園にいるのですから、動物園でキリンさんが快適に暮らすだけで、数多くのキリンさんを守ることに繋がると私は思っています。(病気を治療することで長生きし、子供が産まれたら個体数を増やすこともできますよね~)

そこで!動物園でキリンさんが快適に暮らすためのヒントを得ることを目指し、研究に取り組みました。

野生ではキリンさんは樹葉を食べ、移動し、樹葉を食べ、、、とにかく基本的にお食事タイムです。そのため今回の研究では動物園での給餌方法に注目しました。動物園によって給餌方法は異なると思いますが、今回協力していただいた秋田市大森山動物園では、主にルーサン(乾草)と樹葉を開園中、朝に1回と昼過ぎに1回の計2回給餌していました。この回数をそれぞれ1回、2回、4回に変えてみました!給餌回数だけを変えて、餌の種類と1日に与える総量は変えませんでした。

「回数だけ変えるって単純だな~」と思った方、いませんかー?

おっしゃる通り、とっても単純です(^^)でも単純なのが大切なのです!!
キリンさんのために何か工夫をしても、それがずっと続かなくては真の快適さに繋がらないと私は思っています。担当の飼育員の方が変わっても、飼育個体が変わっても、特別な技術がなくてもできる工夫が良いなと思い、給餌回数だけを変えることにしました。餌の種類を変えたり、量を増やしたりすることも可能な動物園もあると思います でも経済的に厳しい動物園もあると思います。「キリンさんのために何か工夫をしたい!でもお金がない、、、(涙)」となるのが、もったいないと私は思っています。そこで今回の研究では、お金がかからないという点にこだわりました。

結果は!!!

2頭で仲良くお食事タイム

ルーサン(乾草)の給餌回数を4回にしたら、1回の時よりもキリンさんが食べている回数が増えました~(^_^)vキリンさんはルーサンの葉の部分と茎の部分のうち、葉の部分を好んで食べます。同じ量を回数を分けて給餌したので、1回の給餌量が少ない4回給餌の方が葉の部分を探しやすく、飽きっぽいキリンさんでも、不器用なキリンさんでも食べやすかったのではないかと推測しています。

食べている回数が増加することによって、食べる量が増え、異常な行動(柵なめたり、目的もなくウロウロする行動)の減少に繋がってくるのです!今回の研究で「はい!これで完璧な給餌回数!給餌方法!!」とまでは言えないのですが、今後に繋がるヒントが得られたと思っています。(私はそう信じたいです!)

<おまけ>
キリンさんが大好きな私による、キリンさんトークコーナー

①キリンさんの種類
キリンさんには9つの種類があり、柄や体格が少し異なります。日本の多くの動物園にいるのは、今回の研究に協力していただいた子達と同じ「アミメキリン」です。みなさんがキリンと聞いて思い浮かぶキリンさんは、おそらくアミメキリンだと思います。この他に日本の動物園には「マサイキリン」がいます(数個の動物園にしかいないのですが)。アミメキリンとマサイキリンでは、明らかに柄が違います。マサイキリンを見る機会があれば、アミメキリンとの違いに注目して見てみるのも面白いかと思います。私もまだ実際にマサイキリンを見たことがないので、死ぬまでに絶対に見たいと思います。

今回研究に協力していただいたリンリンちゃん

②カンタ君
今回研究に協力してくれたオスのキリン・カンタ君なのですが、なんと、観察の途中で2匹のチョウチョを追いかけている場面を私は目撃しました!!!ヒラヒラと飛ぶチョウチョの方に首を伸ばし、数歩歩いてついていき上空に飛んでいくチョウチョを見ていました~~~!可愛すぎて、観察するのを忘れそうでした~笑(※ちゃんと行動を観察し記録しました。)

今回研究に協力していただいたカンタ君

最後になりましたが、研究にご協力していただいたキリン担当飼育員の柴田さん、館岡さん、牛越さんをはじめとする秋田市大森山動物園の皆様、小倉先生に感謝致します。本当にありがとうございました。

(寺田)